聖書別日ごとの糧   >>   伝道者の書[2023]

2023年 05月 11日 (木)

伝道者の書1:1-11(2)
空の空

 一度きりの人生を無駄にしないようにと考えます。意味があり、価値のある人生を願います。ところが、伝道者の書は私たちの人生の虚しさを強調します。深く考えずに伝道者の書を読むなら「虚無の書」と受け止めてしまうことでしょう。では、本書はどのような目的で書かれたのでしょうか。人生の虚無や絶望、懐疑心を植えつけるためでしょうか。いいえ。人生の虚しさを直視することで、虚しくない人生を追求するためです。伝道者の書の究極の目的は、虚しい私たちの人生が、どのようにすれば虚しくない人生になるのかを教えることにあります。

 伝道者の書は、「空」から始まります。5回も「空」を繰り返しています。「空の空。伝道者は言う。空の空。すべては空。」(2)。そして、伝道者の書全体を通して、一体何が空であるのかを具体的に語ります。まず、日の下でのすべての労苦が空です。労苦している世代は去っても、また同じように苦労する新世代が、やってきます。日は昇り沈みを繰り返します。風も南に北にと吹き巡り、吹いた場所に戻ります。川は海に流れ込みますが、海が満ちることはありません。自然界はただ繰り返しの連続です。また、日の下には新しいものはありません。かつて起こったことは、これからも起こります。新しいものだと喜んでも、はるか前の時代にすでにあるものです。しかし、人は前の世代を覚えていません。頑張って働いても誰も記憶覚えてくれないので、虚しさだけが残ります。人々はこの世を頑張って生きて働き、人生が無駄にならないことを期待します。しかし、しばらくは有意義に感じても、最終的には虚しくなります。この世の生活、この地での生活は根本的には、空の空です。この世での意味を探し求めている人は、必ず失望してしまいます。私たちはこれが事実だと悟りましょう。そして、この地での生活に命をかけるのではなく、虚しくならない新しい生活を求めましょう。伝道者の書は、このことを教えているのです。



祈り:何をしても満たされることのない虚しさの中でも、ただ主あなただけが私を満たしてくださる方であることを感謝します。空しい世に目を向けず、主に目を向けて歩めるようにお助けください。

一言:すべてが空



2023年 05月 12日 (金)

伝道者の書1:12-2:11(2:11)
風を追うようなものだ

 伝道者はイスラエルの王になって、天の下で行われる一切のことについて、知恵を用いて尋ね、探り出そうと心に決めました。その結果、エルサレムにいたすべての人たちよりも知恵と知識が増えました。しかし、知恵が多くなれば悩みも多くなりました。物事のすべてを知ることができないばかりか、人生の真の意味も知ることができず、風を追うようなものでした。

 まずは、快楽を味わってみました。王として享受することができるありとあらゆる快楽を味わいました。目の欲するものを拒まず、心の赴くままにあらゆることを楽しみました。酒で体を楽しませました。しかし、笑いは狂気であり、快楽は何にもなりませんでした。次に、ビジネスを拡張してみました。邸宅を建ててぶどう畑を設けました。男女の奴隷たちも多くいました。多くの羊を所有し、銀や金、宝も集めました。すべての者よりも偉大な者になりました。しかし、骨折った労苦を振り返ってみると、すべてが空しいものでした。まるで風を追うようなものでした。風は追うことができません。風を追う人に訪れるの結果は、虚しさと絶望です。神様がいない世の知恵は、何の益にもなりません。神様がいない世の快楽は、本当の楽しみではありません。神様がいない富と成功には、本当の幸せはありません。神様を恐れることは知恵の根本です。神様だけが真の楽しみです。神様だけが、真の成功への道です。神様がいない人生は、風を追うように愚かで空しいものです。神様だけが私たちの人生の真の意味と価値になります。風を追う人生ではなく、神様を追い求める人生にすべきです。



祈り:どんな努力も空しいものです。風を追うようなものに心を奪われていたことを告白し、神様を追い求めるよう祈ります。

一言:風を追っていませんか


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