聖書別日ごとの糧   >>   詩篇[2021]

2021年 07月 03日 (土)

詩篇44:1-26(26)
立ち上がって私たちをお助け下さい

 この詩の背景には、苦難に直面している神の民の姿があります。詩人はイスラエルの歴史を思い出し、どんな苦難があっても神様を信頼し続けて祈ります。詩人はまず、神様が昔になさったみわざ、次にイスラエルの先祖たちがエジプトから出てからカナンの地に住みつくまでのことを語っています。イスラエルは自分の剣でカナンの地を得たのでも、自分の腕で自らの命を救ったのでもありません。ただ主の右の手と御腕、そして主の御顔の光がそうしたのです。それは、主が彼らを愛されたからです(1-3)。詩人は、「神こそ私の王」と告白しています(4)。そして主の御名によって、敵どもを踏みつけて敵から救われたことをいつも誇りに思い、救いの神の御名を褒めたたえているのです(5-8)。

 しかし現状はどうでしょうか。主はイスラエルを退け、彼らとともに出陣しませんでした(9)。それでイスラエルは、自分たちを憎む者に略奪され、餌食となる羊のように国々の間に散らされ、奴隷として安く売り渡されました。そして隣人の誹りの的とされ、嘲られ、絶えず辱めを受け、屠られる羊とみなされました。彼らのたましいはちりに伏し、腹は地についているようになりました(25)。しかし詩人は、神様を恨んだり、神から離れたり、主の道からそれたりしませんでした。むしろ彼は「・・・しかし私たちはあなたを忘れずあなたの契約を無にしませんでした」(17)と言い、主に対して変わらぬ全幅的な信頼を寄せたのです。それは、彼が神様だけが与えることの出来る勝利を確信して待ち望んでいたからでしょう。最後に詩人は「起きてください。主よ!」(23)「立ち上がって、私たちをお助け下さい。」(26)と祈ります。これは神様以外には救いはない、という切迫した信仰の表れです。そして「御恵みのゆえに、私たちを贖い出してください」というのは、「安売り」されたかのような民を、「代価を払って買い戻してください」という、神様の救いを願う切実な祈りでもあるのです。この祈りは、主イエスの十字架によって成就されました。



適用:神様の助けを求めていますか

一言:立ち上がってお助けください。主よ


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