パリサイ人たちや律法学者たちは、イエス様の弟子たちが手を洗わずにパンを食べていることを問題視しました。きよめに関する長老たちの言い伝えを破っているためです。パリサイ人たちや律法学者たちは神様を愛しているかのように見えます。しかし、それは言い伝えを建前にして自分たちの欲を満たそうとしているのをイエス様はご覧になりました。内では欲を抱いているのに、外では言い伝えを前面に出す彼らのほうこそ汚れた者たちでした。

　「口に入る物は人を汚しません。口から出るもの、それが人を汚すのです。」とイエス様は言われました。実際に口に入る物はみな、腹に入り、排泄されて外に出されるだけです。むしろ中から出る、悪い考え、殺人、姦淫、淫らな行い、盗み、偽証、ののしりは、心から出て、人を汚します。内側が汚れている人ほど、心は神様から離れているのに口では神様を敬うと言う偽善者になりやすいのです。心がきれいな人が、まことにけがれのない人です。神様は私たちの心をご覧になられます。

祈り：何を洗っていますか

一言：心

　カナン人のある女性がイエス様の後ろから叫びました。「主よ。ダビデの子よ。私をあわれんでください。娘が悪霊につかれて、ひどく苦しんでいます。」この女性は異邦人でした。不思議にもイエス様は一言も彼女に答えられませんでした。弟子たちは、早く言うことを聞いて去らせてほしいと願いました。しかし、イエス様はイスラエルの家の失われた羊以外のところには、遣わされていないと答えただけでした。

　彼女はもう一度ひれ伏してお願いしました。「主よ、私をお助けください。」しかし、主は断られました。「子どもたちのパンを取り上げて、小犬に投げてやるのは良くないことです。」犬呼ばわりされて、女はどれほど傷ついたことでしょうか。

　しかし、彼女は絶望したり、怒ったりしませんでした。「主よ、そのとおりです。」と答えました。自分はカナンの異邦人であり、犬みたいな罪人で、祝福を受けるには何の資格もないものであることを認めていました。ただ、小犬でも主人の食卓から落ちるパン屑をいただくように、パン屑でも恵みを受けたいと願ったのです。そのとき、イエス様は彼女の願いと信仰を受け止められ、娘を癒されました。

　私たちもカナンの女性と同じです。神様のみ前に出せるような正しさも功労もありません。犬扱いされても当然かもしれません。しかし、信仰によって御前に出て来るものを主は無視されることはないと信じて、謙遜に求める者には、大きな恵みが与えられるのです。

祈り：恵みを受けるものではないことを認めていますか

一言：主よ、そのとおりです

　イエス様はガリラヤ湖のほとりにある山に登り、そこに座られました。すると大勢の群衆が、多くの不自由な人をみもとに連れて来て、イエス様の足元に置きました。イエス様は彼らを癒されました。口のきけない人たちがものを言い、足の不自由な人たちが歩き、目の見えない人たちが見えるようになりました。聖書で預言されていたメシアの奇跡を見て、群衆はイスラエルの神をあがめました。群衆は男だけで四千人もいましたが、治って、すぐに帰らずにイエス様のみそばに留まりました。予定していなかった3泊4日の修養会が山の上で行われたのです。

　イエス様は群衆をかわいそうに思われました。三日間ともにいて、食べるものを持っておらず、空腹のまま帰らせて、途中で動けなくなったらいけないと言われました。この人里離れたところで大勢の人を十分に食べさせるほどのパンは手に入れることができましょうかと、弟子たちは言いました。弟子たちは以前にイエス様が五千人を食べさせた奇跡を経験していたのですが、まだ信仰も心もなかったのです。イエス様はパンがいくつあるかお尋ねになり、七つのパンと、小さい魚少しだけで群衆を食べさせました。人々はみな、食べて満腹し、余ったパンは七つのかごがいっぱいになるほどでした。

　私たちには、病人を癒したり、お腹を空かせた群衆を食べさせたりするような能力はありません。イエス様もそれはご存じです。しかし、イエス様のように私たちが群衆をかわいそうに思う、主の心に沿うことを願われています。そして、群衆のために必要なものを主に願い出てくるようにとも願われているのです。

祈り：人々をどのように思っていますか

一言：かわいそうに