パリサイ人と律法学者たちは、イエス様の弟子のうちのある者たちが手を洗わずにパンを食べているのを見て、汚れていると考え非難しました。イエス様はこのような非難に対して、預言者イザヤの預言を引用しながら反論されました。パリサイ人と律法学者たちは、口先では神様を敬いますが、その心は神様から遠く離れていました。人間の言い伝えを堅く守りながら、神様をむなしく礼拝しました。彼らは自分たちの言い伝えを堅く守るために神様の戒めを捨てました。

　パリサイ人たちは、手を綺麗に洗うと清められると思っていました。ところが、イエス様は外から入って人を汚すことのできるものは何もなく、人の中から出て来るものが人を汚すと言われました。人の心の中から、悪い考えが出てくるからです。悪い考えとは、淫らな行い、盗み、殺人、姦淫、貪欲、悪行、欺き、好色、ねたみ、ののしり、高慢、愚かさです。イエス様はこれらの悪が、みな内側から出て来て、人を汚すと言われました。

　人を汚すものは、洗わない手ではなく、悪い考えです。考えが悪ければ、いくら外側をきれいにしても何の意味もありません。本当にきよくなりたいのであれば、私たちの心をきよめなければなりません。私たちの心はイエス様の十字架の血によって罪が赦されるときにきよめられます。心がきよめられなければ、外だけがきよい偽善者の生活をするしかありません。

適用：あなたの心はきよめられていますか

一言：手ではなく心をきよめましょう

　イエス様がツロの地方に行かれた時、シリア・フェニキアの女の人がイエス様のことを聞き、やって来てその足もとにひれ伏しました。彼女がイエス様のところに来たのは、幼い娘が汚れた霊につかれていたからでした。彼女はイエス様に自分の娘から悪霊を追い出してくださるようにお願いしました。悪霊につかれた娘を考えると彼女の苦しみは大変大きいものだったでしょう。しかし、イエス様は、「まず子どもたちを満腹にさせなければなりません。子どもたちのパンを取り上げて、小犬に投げてやるのは良くないことです。」と彼女に言われました(27)。この御言葉は、とても侮辱的な言葉のように聞こえます。彼女は怒り心頭になって、荒々しくイエスさまに言い返すこともできました。ところが、驚くことに彼女は「主よ。食卓の下の小犬でも、子どもたちのパン屑はいただきます。」と答えました。彼女はイエス様の言葉を素直に認めました。自分は小犬のような存在であり、イエス様の恵みをいただく資格もないと告白しました。彼女は諦めることなく、イエス様に屑のような恵みであっても、それをくださいと求めました。イエス様は彼女のこの言葉を聞いてくださり、悪霊につかれた娘を癒してくださいました。

　この女性がイエス様に言った言葉には、どんな意味があるのでしょうか。彼女はイエス様の御言葉をそのまま素直に認めました。主の恵みは、あまりにも大きく豊かなので、例えパン屑のような大きさの恵みであっても、自分の娘を癒すのには十分である、という信仰がありました。イエス様は「そこまで言うのなら」と言われ、シリア・フェニキアの女の人が言ったことを喜ばれました(29)。 イエス様はご自分の御言葉を認め、謙遜に恵みを求める人を大変喜ばれます。その人に恵みを施してくださいます。

適用：切実な問題の前でどのように言いますか

一言：神の豊かな恵みにもとづいた信仰のことば

　イエス様は再びツロの地方を出て、デカポリス地方を通り抜けて、ガリラヤ湖に来られました。その時、人々は耳が聞こえず口のきけない人を連れて来て、イエス様に彼の上に手を置いてくださいと懇願しました。イエス様はその人だけを群衆の中から連れ出し、ご自分の指を彼の両耳に入れました。それから、唾を付けてその舌にさわられました。これは、その人のための具体的な治療行為でした。イエス様は天を見上げ、深く息をしました。これを通して人々は、イエス様が神様からの力でその人を癒して下さったことを知ることができました。イエス様が深く息をされたのは、その人に対する憐れむ心が現れたからです。イエス様はその耳が開かれ、口がきけるようになることを切に願われました。それで彼に向かって、「エパタ」と言われました。これは「開け」という意味です。すると、すぐに彼の耳が開き、舌のもつれが解け、はっきりと話せるようになりました。

　彼は聞くことも、話すこともできませんでした。イエス様は彼をかわいそうに思い、彼を癒してくださいました。イエス様は、耳が聞こえず口のきけない人を癒すために来られた方です。イエス様から癒しを受ける時、耳が聞こえず口のきけない病も、癒されます。神様の御言葉を聞くことができず、またイエス様に祈ることもできない人も、イエス様に出会う時、イエス様がその人の耳を開き、話せるようにしてくださいます。

適用：耳が聞こえず、口のきけない人を誰が助けることができますか

一言：イエス様