使徒パウロは、クリスチャンが警戒すること、進んで行うことについて述べています。まず、誤った信仰を分別することです。肉体の割礼を受けないと救われないと考える犬のような者、悪を行う者に気をつけないといけません。肉に頼る思いを捨て、神の御霊によって礼拝し、キリスト・イエスを頼ることです。肉に頼る者にもパウロは、過去自分も同じように肉を誇っていたことを告白します。しかし、自分にとって得であったこのようなすべてのものを、キリストのゆえに損と思うようになり、ちりあくたとして捨てました。なぜなら、キリスト・イエスを知っていることのすばらしさを悟ったためです。パウロはキリストを得て、キリストにある者と認められるようになりました。キリストを信じることで与えられる義を確信しました。私たちも、肉的なもの、世俗的なものではなく、ただキリストによって義とされることを認めなければなりません。

　キリスト・イエスへの信仰によって義と認められたからと言って、クリスチャンがイエス様をすべて知っているわけではありません。パウロは義と認められてもなお、イエス様を得ようとしました。パウロはキリストとその復活の力を知ろうとし、キリストとともに苦しみを受け、死と同じ状態になろうともしました。パウロはキリストに倣って、キリストと一つになろうとしたのです。この時、復活の望みを確信しました(11)。私たちが、キリストを深く知ろうとするのであれば、キリストの苦難と死に倣って、日々生きるべきです。そうすれば、復活の力を体験でき、よみがえりへの望みと最後の勝利を確信できるのです。

祈り：主よ!私たちが第一にキリストに倣い、神の義を求めるようにしてください。

一言：キリスト・イエス

　クリスチャンは信仰の競争を走っています。パウロは走る者の姿勢について語ります。パウロは完熟した信仰の境地に至りました。数度、伝道旅行をし、各地に多くの教会を開拓しました。それでも、自分が完全にされたとは考えていませんでした。彼は走ることをやめませんでした。私たちもパウロのようにへりくだり、キリスト・イエスにあっていつまでも成長してゆきましょう。競争者が、走る速度を落とすのは、これくらいであれば十分だと満足して、楽をしてしまうためです。しかし、それでは心にうぬぼれが生じ、これ以上の成長は難しくなります。

　競争する者にとって大切なことは目標をはっきりさせることです。パウロの目標はこの世で成功することではありませんでした。彼の目標は、キリスト・イエスと一つになろうとすることでした。キリストの死を手本とし、彼は復活の栄光に至ろうとしていました。また、パウロは主から与えられる賞を目指していました。目標を目指すパウロは、うしろのものを忘れました。成功したこと、失敗したこと、そうした過去のことはすべて後ろに置きました。私たちも神様から頂く賞を目指し走るなら、後ろのものは置いて行きましょう。過去成功したことに捕らわれては傲慢になりやすく、失敗を忘れなければ力を失ってしまうからです。

祈り：主よ!私たちがキリストに倣い、日々クリスチャンとして成長することができるように助けてください。

一言：うしろのものを忘れ

　パウロはピリピの聖徒たちに勧めのことばを送り、手本として歩んでいる人たちに目を留めるように言います。しかし、手本とすべきでない人もいます。キリストの十字架の敵として歩んでいる人々のことです。彼らは神様に仕えることよりも、飲み食いし、腹の意のままに生きます。また、快楽や淫乱などの恥ずべき生き方をしつつも、これを自慢し、栄光としています。ただ欲望と、地上のことだけを考えているのです。その人たちの最後は滅びです。クリスチャンはこのような人たちを分別し、手本としてはいけません。

　クリスチャンは霊的な国籍をよく認識するべきです。この地上に生きていますが、私たちの国籍は天にあります。天に国籍がある者は、この地上に望みを置いて生きるのではなく、イエス・キリストが救い主として来られるのを、待ち望みます。キリストは、私たちの卑しいからだを、ご自分の栄光に輝くからだと同じ姿に変えてくださいます。万物をご自分に従わせることさえできる御力によって、私たちを変えてくださいます。ですから、私たちクリスチャンは、栄光のからだに変えてくださるキリストの再臨を、待ち望み、生きてゆきましょう。

祈り：主よ!この地上においてイエスキリストの再臨を待ち望み、その栄光を手本として生きていくように助けてください。

一言：もう一度来られるキリスト