□12月3日(水)
カエサルに上訴します
使徒の働き25:1-27(11)
聖書本文
25:1 フェストゥスは、属州に到着すると、三日後にカイサリアからエルサレムに上った。
25:2 すると、祭司長たちとユダヤ人のおもだった者たちが、パウロのことを告訴した。
25:3 そして、パウロの件で自分たちに好意を示し、彼をエルサレムに呼び寄せていただきたいと、フェストゥスに懇願した。待ち伏せして、途中でパウロを殺そうとしていたのである。
25:4 しかしフェストゥスは、パウロはカイサリアに監禁されているし、自分も間もなく出発する予定であると答え、
25:5 「その男に何か問題があるなら、おまえたちの中の有力者たちが私と一緒に下って行って、彼を訴えればよい」と言った。
25:6 フェストゥスは、彼らのところに八日か十日ほど滞在しただけで、カイサリアに下り、翌日、裁判の席に着いて、パウロの出廷を命じた。
25:7 パウロが現れると、エルサレムから下って来たユダヤ人たちは彼を取り囲んで立ち、多くの重い罪状を申し立てた。しかし、それを立証することはできなかった。
25:8 パウロは、「私は、ユダヤ人の律法に対しても、宮に対しても、カエサルに対しても、何の罪も犯してはいません」と弁明した。
25:9 ところが、ユダヤ人たちの機嫌を取ろうとしたフェストゥスは、パウロに向かって、「おまえはエルサレムに上り、そこでこれらの件について、私の前で裁判を受けることを望むか」と尋ねた。
25:10 すると、パウロは言った。「私はカエサルの法廷に立っているのですから、ここで裁判を受けるのが当然です。閣下もよくご存じのとおり、私はユダヤ人たちに何も悪いことをしていません。
25:11 もし私が悪いことをし、死に値する何かをしたのなら、私は死を免れようとは思いません。しかし、この人たちが訴えていることに何の根拠もないとすれば、だれも私を彼らに引き渡すことはできません。私はカエサルに上訴します。」
25:12 そこで、フェストゥスは陪席の者たちと協議したうえで、こう答えた。「おまえはカエサルに上訴したのだから、カエサルのもとに行くことになる。」
25:13 数日たって、アグリッパ王とベルニケが、フェストゥスに敬意を表するためにカイサリアに来た。
25:14 二人がそこに何日も滞在していたので、フェストゥスはパウロの件を王に持ち出して、次のように言った。「フェリクスが囚人として残して行った男が一人います。
25:15 私がエルサレムに行ったとき、祭司長たちとユダヤ人の長老たちが、その男のことを私に訴え出て、罪に定めるよう求めました。
25:16 そこで、私は彼らにこう答えました。『訴えられている者が、告発する者たちの面前で訴えについて弁明する機会が与えられずに、引き渡されるということは、ローマ人の慣習にはない。』
25:17 それで、訴える者たちがともにこちらに来たので、私は時を移さず、その翌日に裁判の席に着いて、その男を出廷させました。
25:18 告発者たちは立ち上がりましたが、彼について私が予測していたような犯罪についての告発理由は、何一つ申し立てませんでした。
25:19 ただ、彼と言い争っている点は、彼ら自身の宗教に関すること、また死んでしまったイエスという者のことで、そのイエスが生きているとパウロは主張しているのです。
25:20 このような問題をどう取り調べたらよいか、私には見当がつかないので、彼に『エルサレムに行き、そこでこの件について裁判を受けたいか』と尋ねました。
25:21 するとパウロは、皇帝の判決を受けるまで保護してほしいと訴えたので、彼をカエサルのもとに送る時まで保護しておくように命じました。」
25:22 アグリッパがフェストゥスに「私も、その男の話を聞いてみたいものです」と言ったので、フェストゥスは、「では、明日お聞きください」と言った。
25:23 翌日、アグリッパとベルニケは大いに威儀を正して到着し、千人隊長たちや町の有力者たちとともに謁見室に入った。そして、フェストゥスが命じると、パウロが連れて来られた。
25:24 フェストゥスは言った。「アグリッパ王、ならびにご列席の皆さん、この者をご覧ください。多くのユダヤ人たちがみな、エルサレムでもここでも、もはや生かしておくべきではないと叫び、私に訴えてきたのは、この者です。
25:25 私の理解するところでは、彼は死罪に当たることは何一つしていません。ただ、彼自身が皇帝に上訴したので、私は彼を送ることに決めました。
25:26 ところが、彼について、わが君に書き送るべき確かな事柄が何もありません。それで皆さんの前に、わけてもアグリッパ王、あなたの前に、彼を引き出しました。こうして取り調べることで、何か私が書き送るべきことを得たいのです。
25:27 囚人を送るのに、訴える理由を示さないのは、道理に合わないと思うのです。」
聖書 新改訳2017 ©2017 新日本聖書刊行会 許諾番号 4-1009-2
日毎の糧
フェストゥスが新しい総督として就任しました。すると、祭司長たちとユダヤ人の主だった人たちが、パウロのことを告訴しました。そして、パウロを待ち伏せして殺す計画を密かに進めました(1–6)。しかし、フェストゥスが彼らの思惑通りに反応しなかったこともあり、暗殺計画は失敗しました。
カイサリアの裁判にパウロが出廷すると、ユダヤ人たちは多くの重い罪状を申し立てました。彼らはそれを立証することができずにいましたが(7)、フェストゥスは彼らの機嫌を取ろうとして、裁判をエルサレムでも行おうとしました。するとパウロは、「カエサルに上訴します」と宣言しました(8–12)。ローマに行って皇帝の判決を受けることを求めたのです。
パウロは、囚人の身のままであっても、何としてでもローマに行き、そこで福音を宣べ伝えたいと思いました。もちろん、パウロもできれば自由の身となってからローマに行きたいと願っていたことでしょう。しかし、ユダヤ人たちが彼を殺害しようとしていたこの状況では、囚人であるほうが、かえってローマ軍の保護を受けられて安全でした。
見かけ上、パウロは悪意ある人々の思うままにされているようでした。けれども「カエサルに上訴します」という宣言は、イエス様が彼をローマへ遣わし、そこで証しするようになるという約束(23:11)を信じる信仰の表明でした。主の言葉を信じたからこそ、大胆に上訴したのです。こうした信仰は一朝一夕で身につくものではありません。パウロは、主イエスと出会って以降、イエス・キリストにあって神が上に召して下さるという目標を目指して、ひたすら走り続けました(ピリピ3:13–14)。そんな信仰の競走をするうちに、主に対する深い信頼が彼の内側で育っていきました。
祈り:父なる神様、イエス様の弟子として生きることは、見えない未来を全面的に主の御心にゆだね、日々、深みに漕ぎ出していくことだと学びます。毎日の歩みの中で、あなたを信頼し、信仰の決断をしていけるように祈ります。
一言:イエスの御心を第一に生きる決断
【日ごとの糧】(daily bread)とは
【日ごとの糧】は個人的に、毎日欠かさず聖書を黙想し、生活と一体化するよう助ける案内書です。今日の御言葉を毎日黙想するためのQT教材です。
三ヶ月ごとに定期的に出版し、4年間で聖書全巻を学ぶことができるように編集されています。
教会の早朝祈り会、家庭礼拝、その他の集まりで今日の御言葉として活用されています。
特に、このような集まりで受けた御言葉の恵みを書いてお互いに発表すれば、聖徒の交わりと信仰の成長に大きな助けとなります。
弊宣教会は1968から【日ごとの糧】を出版しており、現在も複数のスタッフ(幹事、牧師)によって執筆され、3ヶ月ごとに定期的に出版しております。日本UBFの日ごとの糧は、英語・韓国語の日ごとの糧を元に翻訳・編集されたものです。
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